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元気か、と聞かれ元気だと答えれば風のない風景に似てゆく

山崎春蘭『外大短歌第4号』「すすき野」


大学に入学したばかりの1年生の頃には、何の不安もなく、漠然と前向きに生きてきた。
海で泳ぎ、美術館を歩き、草原にデートに行った。
それから大きな津波がやってきて、日本は真っ暗なデフレに陥ったのだけど、それでもどうにかなると思っていた。
弁論クラブに顔を出して、そうだ、自分もまた、新しい理論を打ち立てたいと思う様になり、図書館に入り浸った。
ところが、自分の考えというものは、多く、すでに言い古されてきたものであることが分かってくる。
新しい何かを発見するという研究は本当に難しいことなのだなと思うようになってくる。
何も新しいものを生み出せない。
そんな風にして、研究の道に限界を感じ、私もまた、大学4年生の頃には、周囲と当たり前のように就職活動を始めるようになった。

元気かと聞かれると、実際どうなのだろうと思ってしまう。
やればできるだろうと前向きに思える時代が、たしかに私にもあった。
でも、それは過ぎ去ったことなのかもしれない。
社交儀礼として、元気です、と答える。でも、やはり、実際は、どうなのだろうと思ってしまう。

踊るような風の日もなくなり、台風にわくわくしていた小学生の頃がとても懐かしいのである。
2019/10/26(土) 22:14 一首評 PERMALINK COM(0)
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