満ち満ちてむんと膨らむ紫陽花のいつときだけの家族のかたち黒木沙椰『Manazashi677』
毎年、お盆過ぎになると、家の人びとが、一同に集まって、爺さんの墓参りに行く。
一年で唯一、家族があつまる時期であり、それが終われば、兄は関東へ、妹は中国部へ、弟は関西に帰る。
そして、私と両親とだけが熊本に取り残されて、ふたたび何もない生活に戻ってゆく。
紫陽花は一瞬だけ膨らんで、あっという間に風と雨にながされて、消えてしまう。
ふたたび枯れた生活、何も面白くもない生活に戻る。
昔、子どもの頃は、みんな一緒にバーベキューをして、こんな風にバラバラになるとは思わなかった。
人も花も同じ。
でも一瞬だけ膨らむときの、そのむんとする感じ、そこに家族のつながりを感じる。
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