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そりゃ俺は三浦春馬じゃないけれどあなたも佐々木希じゃないよ?

長瀬大『短歌ウルフR』(2010年5月6日)


私がインターネットを始めたのは高校2年生の頃。今から12年前の2007年。
そのころは携帯電話が普及しはじめたころで、スマートフォンというものはこの世には無かった。
まだYoutubeを知る人も少なかった。
それで、アップロードされてくる動画も、ドイツ語のものや英語のものしかなく、日本人の動画は皆無だった。
その内容も、いわゆる「有害な情報」であふれていた。
規制も何もなかった時代なので、とくにドイツ人女性やアメリカのアウトサイダー系文学者たちの溜まり場だった。
それも月日がたち始めると、いつのまにかYoutubeには、健全で、ふわふわした、ゆるい世界観が訪れるのだった。

さて、短歌の世界もまた、インターネットの力で、誰しもが自分の歌を発表できることになった。
そうすると、旧かな遣いや文語体の縛りというものが衰え、時代の「規制緩和」という風潮が、短歌の世界にも流れ込んできたのである。

今回は、長瀬大さんの作品。

高校生の頃には、誰が美男子で、誰が美人かを話し合ったことがある。そして、自分もまたイケメンではない部類の側なので、高校では、女子からアゴで使われるというポジションだったのを覚えている。スクールカーストという言葉もあるが、それによれば、私は使用人の立ち位置であった。いま考えると、学生の世界は、理不尽なことが多い。こちらだって幾つか言いたいこともある。だが、そういうのは置いといて、とりあえず、「動けよ」という命令がやってくる。

この歌の良いところは「?」じゃなかろうかと思う。べつにこれを付けなくても、この歌は成立する。
でも、わざわざ「?」をつけるあたりに、自分の置かれたポジションへの自覚があるように私には思われる。
本当は、はっきりと言い返したいのだけど、いろいろな力関係の結果、顔をゆがませながら、最終的に語尾に疑問符を付けて、「うにゃむにゃ」と口ごもりながら、相手に聞こえないくらいの声で、この歌を詠むのだろうなと思う。

sasakinozomi
2019/11/01(金) 16:42 一首評 PERMALINK COM(0)
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